ノイズ

ノイズ

デスクトップPCの画面が乱れる

時々、デスクトップPCの画面にノイズが走るようになった。

原因を特定しようと色々と調べてみたが、時間的なものや特定のアプリを使った時、特定の操作をした時、といった規則性もこれといって見つけられず、ノイズが走った際には、モニターの電源を一度切って点ければ取り敢えずノイズがなくなるため、一時しのぎである事は承知していたが根本的な解決は半ば諦めていた。

ある日の深夜2時頃、トイレに行っている間に同現象が起こったようで、PCの前に戻ってみると画面が酷い有様になっていた。椅子に腰掛けながら、モニターの電源ボタンに手を伸ばそうとすると、目の前が光ったような感じがして、そのまま直ぐに真っ暗になった。

身体は椅子の上に落ち、そのまま腰掛けた状態となったが、顔は机の上にあったキーボードに打ち付けた。

「キーボードの上に顔が落ちてる」という他人事の感想はあったが、「痛い」といった感覚の方は特になく、目の前が真っ暗になった事も併せて、頭に疑問符が飛び交うだけであった。

瞬間、ようやく思考が現象に追いついたようで、「痛っ、気絶した!」とそこで痛覚が復活し慌てて顔を上げた。PCの画面に表示されている時間を確認し、気絶していたのは長くても1分程度らしかった。

もしかしたら、丸一日気絶かも?とよぎって日付も確認したが、それが杞憂に終わったところで、はじめて画面が平常に戻っていた事と、ブラウザの検索欄に無意味な文字列が入力されていた事に気づいた。

気絶する際に無意識のうちに左側を向いたからであろう、キーボードに打ち付けた顔の右側面を手でさすり、「疲れてんのかなぁ」と独り言ちつつ画面を再び見つめ、ブラウザの無意味な文字列を消した。

以降、デスクトップPCの画面にノイズは走らなくなった。しかし、ノイズそのものは未だに走る、もちろん不規則に。見ているモノ全てに。

目を瞑っても意味がない。モニターのように電源を切る手段もない。いや、たぶんある。あるにはあるが…。

これはフィクションです